奈良の大和文華館では特別企画展「禅宗の美」展が開催中です。
墨蹟・頂相・道釋人物画や、禅僧にまつわる水墨画など、大和文華館が所蔵する作品を中心に、展示されています。
室町後期の画家・雪村周継の「呂洞賓図」と「自画像」をじっくりと観たくてやって来ました。
瓶が激しい風のふくなか、仙人である呂洞賓の口ヒゲやあごヒゲやピーンと伸びている様子が愉快です。
一方、呂洞賓が左手に持つ瓶の中から出て、天空に舞う龍の精緻な表現と、呂洞賓が乗る龍の力強さの対比がおもしろく、大胆さと繊細さが混在する雪村のこの絵を気に入っています。
雪村の「自画像」は、雪の積もる深山を背景に、獣の皮を敷いた曲彔に坐し、如意を両手でとる姿で、顔にはうっすらと白いヒゲをはやし、目のまわりは隈ができているように暗く、陰気で不機嫌そうな表情が印象的です。
場所柄もあり、人も少なく、ゆっくりと鑑賞することができました。
◎特別企画展「禅宗の美」
大和文華館
奈良県奈良市学園南1-11-6
期間:10/14まで