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皆川淇園ゆかりの有斐斎弘道館で「京菓子展」開催

京菓子展 2019 「手のひらの自然 万葉集」が京都の有斐斎弘道館で開催されています。

京菓子とは平安期の朝廷の礼式、故実に基づいた年中行事の菓子である有職菓子を基に、江戸期の茶の湯の隆盛によって茶席菓子としても発展したお菓子だそうです。

四季の繊細な移り変わりや抽象化された造形、銘から広がるイメージなど、京菓子は美意識の詰まった小さな玉手箱のようですね。

プロ・アマ問わず参加できる「京菓子展」の今年のお題は「万葉集」。その受賞作品を有斐斎弘道館で観ることができます。
有斐斎弘道館は、江戸中期に京に生まれた儒学者・皆川淇園の弘道館(江戸時代の学問所)跡に建つ、日本家屋です。

皆川淇園は若冲さんとも交流があり、淇園の残した詩や随筆集には、若冲さんの作品について記録されたものがあります。

デンバー美術館が所蔵する「菊花図」には、皆川淇園の七言絶句の題詩が着賛されており、そこには、若冲さんが得意とした水墨画の技法「筋目描き」で菊の花弁を描いた様子を驚きをもって観ていた様子が記されています。

若冲さんが還暦を過ぎた頃から造営を始めた石峰寺の石仏群を天明8年(1786)に応挙や呉春と連れ立って訪れ、「その殊形・異状・怪貌・奇態、人の意表を衝いてほとんど観る者を倒絶させるような石羅漢が配置してあった。造意の工、人をして奇を嘆ぜしめざるものなし」と淇園は、自著の『梅渓紀行』に記しています。

 若冲さん自身の日記や記録がほとんどないなか、当時の若冲さんの様子を伝える貴重な資料を残してくれています。
有斐斎弘道館は京都御所の東に位置する住宅街にあります。路地や茶室もあり、歴史のある建物と美しく配置された京菓子の数々とが良く合っています。

京菓子と抹茶をいただくこともでき、ほっと一息つくにはぴったりの場所でした。

◎京菓子展「手のひらの自然 万葉集」
会場:有斐斎弘道館(本会場)、重要文化財 旧三井家下鴨別邸(特別会場)
期間:11月17日(日)まで

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