若冲さんの作品を鑑賞しながら薄茶と茶懐石を楽しむ「若冲茶会」。
今回は、初期の水墨作品で、黄檗僧の無染浄善の賛のある「大根図」を掛けました。
規格化されたスーパーの大根に見慣れてしまうと、大根の葉にはあまり意識が向きませんが、この「大根図」には、採れたての大根の盛り盛りとした大きな葉に、元気で瑞々しい大根の強い生命感を感じることができます。
手前の大根と、その後ろにそっと寄り添うように存在する小さな大根。
まるで、屈強な男性と可憐な女性の組み合わせのようです。
葉の表現には、若冲さんお得意の「筋目描き」も見られますが、その熟練具合は、まだという感じもあります。
いずれにせよ、薄墨で大胆に力強く描いた「大根図」の見事な姿に、見惚れてしまいます。
若冲茶会では、毎回、若冲作品にちなんだオリジナル生菓子を創っていただきます。
今回のテーマはもちろん「大根」。
「大根図」と同様に、大きな葉も表現していただきたかったのですが、さすがにサイズ的に難しく、葉の部分はカットされた姿に。
青首も表現されており、大根のシワの部分には、シナモンが使われており、アクセントの効いた、大変美味しい和菓子でした。
青物問屋の主人であった若冲さんに敬意を示して、茶懐石は季節の野菜を中心に。
向付:鯛の昆布締め、ブロッコリー
飯碗:つや姫
汁椀:大根の味噌汁
椀物:鳥取産椎茸のしんじょう
焼物:石川産サワラの味噌漬
預鉢;里芋と厚揚げの煮物
八寸:鳥取産らっきょう甘酢漬、さつまいものオレンジ煮
香物:大根の漬物3種
甘味:白玉ぜんざい
冬野菜はいずれも大変美味しく、季節の恵をいただきました。
次回は「春季」。3月を予定しております。