釋永維さんの個展「金属 釈永維展 ー青葉と胴ー」が新宿・柿傳ギャラリーで開催中です。

銅や真鍮の板を用いて創る維さんの作品は、金属という無機物でありながら、その造形はしなやかで有機的。

昔に比べて、銅製品があまり身近ではなくなった現代では、「銅=金属=重い・硬い」と思いがちですが、
私は、仏像の背後を飾る「光背」や堂内装飾の「華鬘」「幡頭」「天蓋」といった奈良時代の優美な仏教工芸を思い浮かべます。
それらの金銅によく表現される「宝相華華唐草文」は、草花が幾何学的に無限に広がるような装飾模様で、銅の持つ柔和な質感とよく合っています。
そして、維さんの作品全体に流れる、開放的でしなやかな空気感は、古代の金属工芸のように、自然と調和する魅力があります。

今回の展示では、蓋置や菓子器などのほか、新作の「花入れ」もあります。
銅に表面は錫で景色を作ったそれは、今の時期に美しい青葉がよく映えます。

金属工芸の魅力を再発見できる、素晴らしい展示会でした。


◎「金属 釈永維展 ー青葉と胴ー」
場所:柿傳ギャラリー(東京・新宿)
期間:6/11(水)まで