作品

伊藤若冲「狗子に蝶図」

DATA

作家名 伊藤若冲
作品名 狗子と蝶図
時代 江戸時代(18世紀)
紙本墨画
本紙寸法 97.4 × 27.2 cm
総丈 186.6 × 39.8 cm
印章 「藤汝鈞印」(白文方印)、 「若冲居士」(朱文円印)
展覧会 出品履歴 ・生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲(京都市美術館)/2016年10月~12月
・若冲と光瑤(石川県立美術館)/2019年6月〜7月
・東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展(福島県立美術権)/2019年3月〜5月

解説

モンシロチョウと仔犬の春の日の出会い

くるんとしっぽを丸めた白い仔犬が、竹を組んだ棚に前脚をのせて、グンと身体を伸ばして上を向いています。何を見ているのでしょう。一匹のモンシロチョウです。

その可愛らしい仕草や、モンシロチョウが気になって仕方なく、もっと近くで見たいという仔犬らしい好奇心が生き生きと表現された作品です。

若冲の描く動物や昆虫は、どれも人間さながらのユニークな表情を浮かべ、生き物同士でコミュニケーションをとっています。そして、動物はもとより昆虫や魚類に至るまで、生き物の“視線”を描き、いずれの方向を見ているかをあえて表現しています。

この作品も、仔犬と蝶の視線を見てみると…。仔犬は、目が点々になっていて、視線が定まっていません。

どうやら、羽根をぱたぱたさせ、ゆらゆらと飛ぶモンシロチョウの動きに、視線があっちこっちにいってしまったようです。もしかしたら、生まれて初めて蝶を見たのかもしれません。

そんな仔犬とは対照的に、モンシロチョウはその眼をしっかり子犬に向けています。

若冲の犬図は、「米斗翁八十六歳画」の落記のある絹本着色の「百犬図」(個人蔵)や、同じく絹本着色の「厖児戯帚図」(鹿苑寺)ほか、水墨画では「仔犬に箒図」(財団法人 細見美術館)など数点が公表されていますが、その数は多くありません。

作例の少なさという点で、この作品は希少性が高く、また若冲の生き物への観察眼と愛情が伝わる一枚です。