今年、創立150周年を迎えた東京国立博物館では、この節目を記念して、「国宝 東京国立博物館」展が明日、10月18日より開催されます。
この展覧会の報道発表会に行って参りました。
1872年(明治5)、旧湯島聖堂の大成殿で開催された博覧会を機に、文部省博物館として発足した東博。日本でもっとも長い歴史をもち、所蔵品は約12万件にのぼります。
今回の展覧会では、国宝89件すべてを公開(公開中に展示替えあり)し、さらに、150年の歩みを物語る関連資料の展示もあり、東博のことを知る絶好の機会です。
通常、各々の作品の展示は、作品保護のために、その頻度や期間を考慮して展示されます。
とくに、東博の所蔵する国宝は著明な作品も多く、自館の展示だけでなく、国内外の展覧会への貸し出しの機会も多いです。
ですので、国宝89件すべての展示のタイミングが合うように調整するのは至難の技といえるでしょう。
もちろん、150周年という大きな節目だからこそ、何年も前から準備をしていたということもあるでしょうが、コロナ禍で、展示や貸し出しの機会が制限されたことも、実現を後押ししたのではないでしょうか。
日本の絵画や東洋絵画、墨蹟、刀剣、漆芸などのさまざまな分野が揃っており、教科書にも載っていた“あの著明な名品”に出会えたり、意外な作品が国宝に指定されていることに気付いたりと、館内を巡りながら、さまざまな感情や発見が渦巻ます(笑)。
国宝のほか、東博が所蔵する重要文化財も展示されていますので、見どころが多く、主役級ばかりの舞台を見ている感じで、お得感満載です。
このように、私たちを魅了する国宝の数々ですが、東博の長い歴史の間には、1925年(大正12)の関東大震災による本館の損壊と復興や、40年代の太平洋戦争による文化財の疎開といった大きな出来事もありました。
先人が創造した作品が幾多の難を逃れ、私たちの目前にその美しい姿を見せてくれるのは、美術を愛する多くの方たちの努力、そして、作品に携わった人たちの強い想いがあったからではないでしょうか。
この展覧会を通して、改めて、美術品を愛し、守り続けた先達への感謝の念を強くしました。
◎「国宝 東京國立博物館のすべて」
場所:東京国立博物館(東京・上野)
期間:10/18(火)〜12/11(日)