展覧会

國華清話会の特別鑑賞会で「琳派と印象派展」を拝見しました

尾形光琳「孔雀立葵図屏風」(重要文化財) 江戸時代(18世紀)

國華清話会の特別鑑賞会でアーティゾン美術館で開催の「琳派と印象派展 ー東西都市文化が生んだ美術」を、鑑賞しました。

琳派の画家・鈴木其一の「藤、蓮、楓図」 江戸時代(19世紀)

モネやルノワールに代表される19世紀後半のフランスで発した印象派と、江戸初期の17世紀に活躍した俵屋宗達より続く琳派との競演は、印象派の画家が影響を受けた浮世絵に比べると、珍しいかもしれませんが、琳派デザインが、19世紀後半にフランスを中心とするヨーロッパでもてはやされたジャポニスムに影響を与えていることを鑑みますと、印象派と琳派を並べて観るのも一興です。

尾形光琳「李白観瀑図」江戸時代(18世紀)

個人的には、琳派も印象派もどちらも好きなので、一挙両得という感じでこの展覧会を楽しみました。

ちなみに、琳派とは、狩野派や住吉派のような直接的な血縁や師弟関係で結ばれた画派ではなく、先人の遺した作品に触れ、模写などを通じて主体的に学び、美意識と形式を発展・継承した流派です。代表的な画家として、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一が挙げられます。

この展覧会では、宗達の「舞楽図屏風」や、光琳晩年の「孔雀立葵図屏風」、其一の「芒野図屏風」などの屏風の名作が揃い、圧巻です。

中村芳中「四季草花図扇面貼交屏風」より 江戸時代(18〜19世紀)

一方、訪れた春の日を楽しむように暖かな土の匂いをクンクンと嗅ぐ子犬を描いた宗達の「狗子図」や、満開を過ぎた蓮の華と蕾が描かれ、生命の継承を思わせる「白蓮図」、墨の濃淡だけで闇夜の桜を表現した「夜桜図」など、私のお気に入りのお軸作品もありました!

旧ブリヂストン美術館が2020年1月にリニューアルオープンしたアーティゾン美術館は、ブリヂストンの創業者・石橋正二郎氏が1952年に創立し、自身のコレクションを公開した美術館に端を発します。

ポール・セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール 1904〜06年頃

運営する石橋財団がコレクションする古代美術、印象派、日本の近世・近代絵画、現代美術が鑑賞できます。

草間彌生「無限の網(無題)」1962年頃 油彩・カンヴァス
近くで見ると、絵の具のベタッとした塊があちこちに

アーティゾン美術館は1月のリニューアルオープン時より、入館の日時予約制を採っており、プレス発表会に参加していた私は、正直、その話を聞いて、「少しめんどうかも」と思ったのですが、予約制は海外の美術館では当たり前ですし、コロナ禍で各美術館が予約制を採用していることを考えると、先見の妙とも言えますね。

アーティゾン美術館では、撮影禁止のマークのついている作品以外は、撮影ができます。

青木繁「大穴牟知命」1905年
岸田劉生「麗子像」1922年

12月22日(火)からの後期展示には、宗達の「国宝 風神雷神図屏風」もお目見えします。

◎「琳派と印象派展 ー東西都市文化が生んだ美術」
期間:〜2021年1月24日(日)まで
場所:アーティゾン美術館

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