只今、京都市美術館にて開催の「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」展に、景和から8つの作品を出品しております。
そのうち「鷹図」についてご紹介します。
鷹図
紙本墨画
制作年:40代後半〜50代前半
突き出た岩の上に止まり、左上を向く鷹。飛び立つ方向を見据えながら、そのタイミングを伺っているようです。
岩の下部の草がなびく描写から、強風が吹いているのが見て取れます。頸や胴体、翼や尾羽根は「筋目描き」で丁寧に表情豊かに描かれる一方、鷹の止まる岩は、濃墨を使い、勢いのある筆致で一気呵成に描いています。
この頃、若冲は『動植綵絵』三十幅や鹿苑寺大書院五十面などの大作を次々と制作し、精力的に作画に取り組んでいた時期でもあります。
ここに描かれる、強風のなかを飛び立とうとする鷹は、 “画業で生きていくこと”への強い意思や覚悟を持ち、逆風が吹こうとも絵の世界に力強く羽ばたこうとする若冲自身の姿かもしれません。