岡田美術館で開催中の「生誕250年記念 北斎の肉筆画」展を拝見しました。
北斎というと富嶽三十六景に代表される浮世絵版画が有名ですが、浮世絵は版画よりも肉筆画派の私としては、北斎の肉筆はとても興味アリです。
この季節にぴったりの美人画「夏の朝」と「美人夏姿図」を隣同士で観られるのも、贅沢です。
個人的には、北斎が数え88歳の作で、雪の積もる石塔に左を向いて止まる鴉を描いた「雪中鴉図」が気に入っています。90度の曲を描いて描かれた体部とその姿からは老いた鴉であるとこが分かります。
この絵をみながら、ふと、若冲さんの85歳の落款のある最晩年の作「鷲図」を思い出しました。
海に突き出た岩の上に止まる年老いた鷲が、大小の波濤が立つなか、片足を上げて、荒れ狂う海に向かい、今にも飛び立とうとする姿に、今生を離れあの世に向かう若冲さんの覚悟を見る気がします。
どちらも、気迫みなぎる描写ですが、どこか清々しい印象も受けます。
最晩年に描いた作品には、画家自身の姿や心持ちが表出するのかもしれませんね。
さてさて。次の展覧会は「没後220年 画遊人・若冲 」。
ポスターに採用されている若冲さんの「月に叭々鳥図」、大好きです!
ステルス機が急降下するような叭々鳥の構図、カッコ良すぎ・・。
次回も、箱根の定宿でゆったり温泉&若冲鑑賞。楽しみです。
梅雨明けを迎えていないこの時期は、池の蓮や庭園の紫陽花も見頃です。
苔むす庭の散策は、苔好きにはたまりません・・・。
展覧会を見た後は、仙石原の「大原」でお食事。
こちらの雲白肉は絶品です。
ごちそうさまでした。
●「生誕250年記念 北斎の肉筆画」展
場所:岡田美術館
期間:2020年9月27日(日)まで