端午の節句ということで、若冲さんの「鯉図」を掛けてみました。
超キレッキレの構図と、スーパートリミング。
描かない胴のパーツが、軸外の広大な空間を感じさせます。
「ザブン」と音がしそうなほど、勢いのあるこの鯉の姿は、黄河の中流にある竜門の急流を登った鯉は龍となるという「登龍門」の故事にある“鯉の滝のぼり”です。
ちょうど滝に向かって進んでいるところで、滝壺から流れる水流が、特徴的な波濤で表現されています。
鯉のぼりのような表情、「筋目描き」で描かれた鱗、針金のように伸びた尾びれ、躍動感に満ちた尾びれなど、みどころ満載です。
「これから、滝、登るぞ〜」という意気込んでいる、勇ましい姿は、男児の立身出世と武運長久を願う端午の節句にふさわしいですね。
◎伊藤若冲「鯉図」 18世紀(江戸時代)/紙本墨画