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リヨン繊維装飾芸術博物館の絹織物

今回の渡仏の目的である「リヨン繊維装飾芸術博物館」へ。

5年前、フランスのモン・サン・ミッシェルの教会内売店で見た、若冲さんの「動植綵絵」の「群鶏図」柄のタペストリー。
なぜ、北フランスの彼の地に、若冲さん作品の絵柄をそのまま採用した織物があったのか。
その謎を解くカギが、絹織物の産地・リヨンにあるのでは? と思い、リヨンの地に。

館内には古くは貴族の屋敷をかざったであろう15世紀の巨大なタペストリーから近代に織られた装飾性の高い絹織物まで、数々の作品が展示されています。

一見、刺繍に見えるほどの精巧さに感嘆。

若冲さんの生まれそだった京には、西陣織があり、若冲さんの親戚にも西陣織に関係する方がいたそうです。

若冲さんの生きた18世紀、リヨンと京が「絹織物」というキーワードでつながる不思議。

展示作品の中には、縦と横の線で1センチの方形をつくり、その中にさらに方形をつくり、モザイク画のようにその方形をさまざまな色で塗りつぶして絵柄を構成したものが2点ありました。

若冲さんの作品にも、“枡目描き”呼ばれる、約1センチ四方の罫線を敷き、その方形の中をさらにいくつもの方形で形成し、明度を変えてた色彩で、モザイク画のように絵柄を構成する代表作「白象群獣図」があります。

枡目描きに似た方法で、リヨンの絹織物の絵柄が構成されたことに驚きました。

ここに展示された男性の人物像が枡目描きの手法で構成されていますが、18世紀後半〜19世紀初頭の制作。

若冲さんの「白象群獣図」は、18世紀中頃ですから、若冲さん、先取りですね。

どちらも、精巧に表現できるけれども、あえてモザイク画のような表現を面白がって制作したところに、クリエイターの遊びココロと、新たな表現の追求心が感じられ、とても嬉しい発見でした。

館内には、当時の織機も展示してあり、見応えあります。

50年代の日本のコンピューターのように、紙に穴を開けて、そのパターンで読み取る方法です。

もとは18世紀の個人宅だったというこの博物館は、室内装飾も美しく、見応えのある施設でした。

カフェで、甘いエクレアとエスプレッソのダブルを。

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