展覧会

近代数寄者・野村得庵の茶会を再現した展覧会

京都の野村美術館では、「野村得庵 近代数寄者たちとの交遊」展が開催中です。

南禅寺界隈にあるこの美術館は、野村證券や旧大和銀行などの創業者・野村徳七(1878〜1945年)のコレクションをもとに1984年に開館した美術館です。
茶の湯や能楽に深く親しんだ近代数寄者でもある徳七(号:得庵)らしく、茶道具や能面・能装束が充実しています。

今回の展示では、茶の湯を通して得庵が交遊を深めた近代数寄者たちとの“楽しい茶会”を、追体験できる内容になっています。
特に、得庵が深く交流した益田鈍翁、高橋箒庵、高谷宗範、大谷尊由、住友春翠との交遊に注目して、得庵の残した自会記や他会記など当時の茶会記をもとに、得庵が亭主として彼らを招いたり、また得庵が担当した茶会の道具立てを再現しています(一部は別のお品で代替)。

茶室という空間を演出する茶道具は、その取り合わせ如何でその場の雰囲気をいかようにも変化させます。一つひとつの道具が素晴らしくても、取り合わせが微妙だと、残念な演出になってしまうこともあります。
そういう意味では、かつての数寄者たちが趣向を凝らした茶会の道具立てを通して、あれこれと趣深い時間と空間を想像できるのは、楽しい限りです。

紅葉にはまだ少し早いですが、南禅寺や永観堂あたりを巡りながら、野村美術館に寄ってみてはいかがでしょうか。

◎野村美術館
「野村得庵 近代数寄者たちとの交遊」
期間:〈前期〉〜2025年10/19、〈後期〉10/25〜12/7
住所:京都市左京区南禅寺下河原町61

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