若冲さんと万博といえば、1904年(明治37)に開催されたセントルイス万博に、日本郵船が企業の部で、船舶模型や航路図とともに出展した「若冲の間」があります。
当時、帝室技芸員だった川島甚兵衛が設計・制作を手掛けた休憩室で、若冲さんの代表作「動植綵絵」を綴織や刺繍で再現された、ゴージャスな空間です。
この「若冲の間」は、見事、金牌を受賞したそうです。
現存していれば、ぜひ見てみたいのですが、残念なことに、譲渡先のニューヨーク商工会議所に輸送中、船舶火災により焼失。
日本郵船のホームページに白黒写真で紹介されていますので、当時の雰囲気を感じることができます。
https://museum.nyk.com/kouseki/200709/index.html
若冲さんと万博のもう一つのご縁は、1900年(明治33)のパリ万博のために建てられた建物プティ・パレです。
プティ・パレは、現在は、パリ市が所有する作品を展示するパリ美術館としてパリ市民に愛されています。

日仏友好160年を記念して、2018年にフランス全土で開催された日本の文化芸樹の祭典「ジャポニスム2018」の目玉企画の一つとして、若冲さんの作品展がプティ・パレで開催されました。
彩色画の花鳥画「動植綵絵」30幅と、白と黒の世界た美しい拓版画の「玄圃瑤華」が展示された「若冲展」です。

若冲展では、連日、入場を待つ長い列ができ、待つことが苦手なフランス人が3時間以上も待つこともあったほどの人気ぶりでした。
明治期の万博ブームのなか、若冲作品が出品されることはありませんでしたが、200年以上を経た現代にかの地で若冲展が開かれたのも、何かのご縁ですね。
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