明日、石峰寺で行われる若冲忌に参加するため、前日から京都入り。
若冲さんが70代半ばに描いた「群鶏図障壁画」があった黄檗宗寺院の海宝寺にやって来ました。
海宝寺は、江戸時代初期の享保年間、宇治にある萬福寺の13世・杲堂元昶が開創した黄檗宗寺院で、中国から日本に伝わった普茶料理を食べさせてくれることで有名な寺院でもあります。
今日から12日まで、海宝寺では、若冲さんの「群鶏図障壁画」のレプリカが本堂で特別展示されます。
「群鶏図障壁画」はもとは海宝寺の方丈の障壁と襖に描かれていましたが、現在は京都国立博物館の所蔵となっています。
今回展示のレプリカは、近隣の住民の方たちが「海寶寺に若冲の障壁画を復活させたい」との思いから企画。京都国立博物館からデジタル画像データーを借り受け、デジタル印刷で製作したものだそうです。
レプリカの前には、カラフルな版画がたくさんボードに展示されています。
これらは、京都市立桃山中学の生徒230人が作成した「若冲版画」。
テーマは「伊藤若冲からの発想」。
授業で伊藤若冲の人生や人物を調べ、そのうえで、若冲作品から生徒たちが受けたインスピレーションを元に多色刷り版画を制作したものだそうです。
まさに時空を超えた浪漫溢れる企画。
若冲さんの晩年の代表作に「象と鯨図屏風」(MIHO MUSEUM」があります。
陸の王者・象が飛沫を上げ、海の王者・鯨が長い鼻を高くあげ、二者がが呼応するかのように描かれた傑作ですが、若冲さんの作品には、大きな距離や時間を超えたエールのやりとりが似合う気がします。
さてさて。桃山中学の生徒の作品を見てみますと、あります、あります。
若冲さんの畢生の大作「動植綵絵」シリーズや、「虎図」「伏見人形図」「雨龍図」など、さまざまな若冲作品からインスパイアされたことが伺われます。
若冲さんが85歳の最晩年に描いた「鷲図」も、こんなに自由に!
生徒たちの若冲作品の解釈やその表現方法もさまざまで、あまりの面白さに、時間が経つのも忘れてしまいます。
現代の中学生によって表現された若冲ワールド。
きっと若冲さんも喜んでいるのではないでしょうか。
次回、海宝寺を訪れる時は、ぜひ「普茶料理」を予約しておきたいものです。
◎海宝寺
伏見区桃山町正宗