「花と鳥の四季」展に出品されている若冲さんの「海棠目白図」を観に、京都・泉屋博古館へ。
展覧会ポスターにも採用されているこの作品は、花ざかりのシデコブシと海棠が描かれ、枝にはぷっくらと丸まった小鳥たちがぎゅうぎゅうと、いわゆる“目白押し”状態で身を寄せ合っています。
ビビッド色を抑えぎみの色彩、目白の白と薄緑色と、緑がかった枝や白い花の色とが溶け合い、目白が一瞬、どこにいるのか分からず、探してしまいます。
目白たちは身を寄せ合いながら、各自がさまざまな方向を向き、ポーズもいろいろ。
動植物好きの若冲さんらしい、愛らしい小鳥の姿と、可憐で透明感あふれる花たちの共演。
後の「動植綵絵」に見られるキレキレの構図や対象のメリハリは感じられませんが、平和で穏やかな世界が広がるこの作品が私は好きです。
18世紀前半に来朝し、長崎に2年ほど滞在、写実的な花鳥画の技法を伝え、多くの絵師に影響を与えた沈南蘋の「雪中遊兎図」も展示してありました。
沈南蘋の作品と若冲さんの「海棠目白図」。両者は木々の陰影をつけた表現や色のトーンがよく似ており、若冲さんのこの作品は、沈南蘋の影響を受けているのでは? という印象を受けました。
これは意外で、嬉しい発見!
長山孔寅の「四季花鳥図巻」は、数々の花がのびのびと描かれ、手元で繰れば楽しいだろうなぁ、と。
孔寅の作品の第一印象は「長沢芦雪の描き方に似ている」でしたが、長山孔寅は呉春に学んだ人ですので、辿れば、呉春の師である応挙の高弟・芦雪の影響を受けてもおかしくないですね。
このほか、呉春の「松図衝立」、土佐光起の「菊花図」、尾形乾山の「椿図」などが特に気に入りました。
展示数は30点とけっして多くはありませんが、いずれも素晴らしい作品で、満足度が高いです。眼福、眼福。
◎「花と鳥の四季 住友コレクションの花鳥画」
場所:泉屋博古館(京都)
期間:12月8日(日)まで
https://www.sen-oku.or.jp/kyoto/program/index.html