伊藤若冲 茶会・茶事

今日の若冲茶会は、皆で若冲さんの「筋目描き」に挑戦

今年も「秋の若冲茶会」を開催しました。
参加してくださったのは、若冲さんを愛する方々。
職業は弁護士、編集者、ライター、イラストレーター、キャリアコンサルタントなど、さまざまです。

今回、床に掛けたお軸は、若冲さんの「鷹図」と、日本画家の小林東雲先生が模写された「伊藤若冲 鷹図」。
若冲さんの筆を完コピされた小林東雲先生の情熱と技術にはただ感服するばかりです。

まず最初の一服にお出ししたのは、京都・柳桜園のお茶と、京都・亀屋陸奥の「松風」。
松風は、表面にケシの実が振ってあり、白みその風味が特徴です。

若冲茶会ですので、若冲さんにゆかりのあるお菓子「松風」を選びました。
「松風」は、京都の「亀屋陸奥」さんで作られている本願寺ゆかりの銘菓です。
元亀元年(1570)から10年以上続いた織田信長と石山本願寺の合戦のさなか、亀屋陸奥の三代目が創製した品が兵糧の代わりとなったことに始まるそうです。

では、このお菓子と若冲さんの関係は、といいますと・・・。

若冲さんは、後世に残したいと願い描いた大作「動植綵絵」24幅と釈迦三尊像3幅を明和2年(1765)9月30日、相国寺に寄進します。

この寄進を受けた7日後の10月7日、相国寺の役者寮の責任者・三浦玄省は仏事でしばしば用いられる和菓子「松風」二斤を若冲さんに贈ったそうです。

相国寺の公用日記である『役者寮日記』には、次のように記されています。

役者寮日記 
明和二年十月七日
一、若冲居士、画数幅常住江寄附、為挨拶、菓子松風弐斤被贈之、余持参也

若冲さんが画家に専念した40歳、あるいはそれ以前より、後世に残る大作を描くという大きな目標を掲げて周到に準備し、制作に10年以上の歳月をかけ完成させた「動植綵絵」全30幅のうち、第一弾として寄進した24幅と釈迦三尊像3幅のお礼として、寄進先の相国寺から若冲に手渡されたお菓子なのです。

「斤」は、明治以前の尺貫法の質量の単位で、現代でいうと約600グラムですので、二斤は1.2キロとなります。

日本美術史の花鳥画の大傑作で国宝にも指定され、今や日本の宝といえる「動植綵絵」。
相国寺の名を一般の人に知らしめる契機にもなった、若冲さんの畢生の大作の返礼品が、菓子1.2キロとは・・・。

個人的には、合点がいかない部分もありますが、若冲さん自身にとっては、ほまれ高いことだったのかもしれません。

1.2キロは、個人で食すには多いですが、たぶん、錦高倉にある実家の桝屋の家族や店のスタッフ、あるいは若冲さんの友人知人とともに味わったことでしょう。

このような理由から、今年の若冲茶会のお干菓子として、「松風」をご参加のみなさまに味わっていただきました。

若冲茶会の後半は、参加者のお一人のイラストレーター・伊野孝行さんが、「みんなで筋目描きをしましょう〜」ということで、ご用意くださった紙と墨で、思い思いに筋目描きを試し描きしました。

「筋目描き」とは、若冲さんが、滲みやすい紙に薄墨を乗せるタイミングによって、筋目を出る現象を活かしてモチーフの表現に用いた技法です。

最初は、私は側で静観するだけ、と思っていたのですが、「ぜひ、やりましょう」と勧めてくださったので、おそるおそるチャレンジしました。

みなさま、思い思いのモチーフ、あるいは模様を描いていました。
私は、若冲さんの筋目描きといえば、キクやボタンの花弁、コイや龍の鱗、亀の甲羅、葉の葉脈、など実際の若冲作品に表現された例を頭に浮かべながら、「キクの花とチョウ」を描いてみました。

小学生の頃、習字の授業で筆を使って依頼、長らく触れたことがなく、また、普段、絵を描くこともありませんので、墨をつけた筆を紙に乗せた時のグニャっとした感覚にとまどいながらも、てんてんと紙に墨を置くと、あら不思議!
筋目がどんどん出現します。これは、楽しい〜☆

周りを見渡すと、みなさま、さまざまな反応。
某方は、紙いっぱいに隙間なく筋目で模様をつくったり、別の方は次々とモチーフを変えて何枚も描いていたりと、筋目描きの捉え方と進め方にこれほどのバリエーションがあるのかと、驚きます。
学生時代の美術の時間を思い出しました。

二杯目の薄茶には、自家製の琥珀糖をあわせました。
私の庭に毎年、たくさんの梅の実をつける素晴らし梅木があり、今年もせっせと梅ジャムを作りました。
今回は、そのジャムを使った2種類の琥珀糖を用意しました。

楽しい時間は過ぎるのも早いものです。
お茶会の後は、地元の美味しいイタリアンで食事会。

来年もまた楽しい企画で集まりましょう

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