若冲さんと相国寺の禅僧との関わりといえば、なんといっても、大典(梅荘顕常)との交流です。
当時、大典が記した若冲についての人物評は、若冲さんの生い立ちや絵画哲学などを今の時代に伝えてくれます。
そして、もうひとり、注目したい禅僧がいます。
福井県高浜出身の維明周奎。
若冲に水墨画を習い、墨梅を得意としたそうです。
私もかつて、維明の梅図を持っていましたが、若冲さんに習っただけあって、禅僧らしいキリッとした梅の絵でした。
維明はのちに相国寺の住持115世となり、1808年に78才で寂します。
大典は113世なので、その次の次の住持ということになります。
「学習まんが世界の伝記NEXT 伊藤若冲 」(集英社)でも書かせていただきましたが、維明は、京都の歴史上最大の火災といわれる天明8年(1788)の大火の際に、江戸に参府して不在だった住持の大典に代わり、所持を差配した人物。
相国寺の境内の8割以上を焼失したというこの火災で、「動植綵絵」と「釈迦三尊像」が納められていた南蔵が類焼を免れたのは、もしかしたら維明の差配の妙のおかけがも、と思うと、若冲さんの大切な恩人のような感じがして、感謝せずにはいられません(笑)。
その維明周奎のゆかりの地である福井県・高浜で、維明と若冲さんの作品を紹介する「若狭高浜の禅宗文化1 伊藤若冲と若狭の禅僧」が開催中です。
若冲作品は、相国寺の塔頭・大光明寺が所蔵する水墨画が出品、
個人的には大光明寺蔵のなかでは、特に大典が賛をしている「蘆花翡翠図」が大好きで、これも出品されます
この絵が掛かっていると、いつまでもいつまでも見入ってしまいます。ほわっほわの穂とちまっとしたカワセミの組み合わせがとても可愛くて。ああー、欲しい・・・。
GWにあちらに行かれる場合は、寄ってみてください。
◎「若狭高浜の禅宗文化1 伊藤若冲と若狭の禅僧」展
期間:2023年5月28日(日)まで。
場所:高浜町郷土資料館(福井県)
※4月30日には、大光明寺住職・矢野謙堂氏による講演「若冲と相国寺」が高浜町文化会館小ホールで開催されます(先着100名/聴講無料)。
https://www.town.takahama.fukui.jp/page/kyouiku/p007425_d/fil/jakucyutirashi.pdf