伊藤若冲

小学生たちによる若冲さんの水墨画からのインスピレーション作品が素敵です

ご案内をいただいたので、新国立美術館で開催の「国際公募展 美は国境を超えて」(主催:国際墨友会)を拝見しました。

アジアの芸術表現としての伝統をもつ“墨絵”を中心とした展覧会で、ドイツやスペインなどのヨーロッパからの出品もありました。

墨の生むにじみや線、面の表現の面白さに国境はないのだなぁと、関心しながら足を進めていくと、あるコーナーで、よく見知ったモチーフと構図の絵が壁一面に!

「若冲と蕪村展」(2015年 サントリー美術館)に出品されたいくつかの作品を小学生が描く、という企画のようです。

「これらは、模写?、あるいは、元絵からインスピレーションを受けて描いたオリジナル作品?」と悩みながらも、自由で、可愛くて、目が離せませんでした。

このコーナーの前で絵をじっとみていた二人連れの方が、若冲さんの「鹿図」を模した小学生の絵を見て、「これ、何? 龍?」と話をしていたのが印象的でした。

元画である若冲さんの「鹿図」は、長く立派な角を持つ雄鹿が、前脚を折り曲げて座り、真上に首を伸ばして、キッと天を見据えている様子を描いたもので、鹿の厳しい表情が若冲さんらしからぬ表現です。

霊獣である龍は、空想上の生き物で、角は鹿、頭は駱駝、目は鬼、爪は鷹、耳は牛に似ていると言われています。

若冲さんの「鹿図」を初めて見たとき、個人的に「あっ、これは、鹿の姿を描きながら、実は若冲さんは龍を描いているのでは?」と強く感じたので、鹿の角を見て、龍を発想する二人連れの方の感想はを聞きながら、心の中で「そうですよね〜」とうなずいてしまいました。

小学生たちのいずれの絵を見ても、「ああ、あの作品!」とすぐに元の若冲作品が思い浮かびます。

若冲さんの作品を小学生たちのフィルターを通すと、このように表現されるのだなぁ、とその面白さに見入ってしまいました。

いつか、若冲さんの作品展と一緒に、これらの作品を並べてほしいですね。

◎国際墨画展 ー美は国交を超えて」
期間:2025年1月23日 ~ 2月2日
会場:国立新美術館

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