レンゲの花が咲き、ツクシ、ワラビの生える春草の上を、モンシロチョウとモンキチョウが飛び回る、春の景色を描いた作品。
春の訪れとともに、動植物がのびのびとその息吹を発露する様子を、其一らしい上品で精緻な描写で表現しています。
一見、清楚な印象をうけますが、小サイズながらも、絵絹に丁寧に描かれたこの作品は、ツクシやワラビには金泥で盛り上げ、モンシロチョウの羽に胡粉を重ねて塗るなど、豪奢で緊張感に溢れた、其一晩年の傑作の一つといえるでしょう。
落款の「菁々其一」(せいせいきいつ)は、晩年の弘化元年(1844年)頃から改めた号で、「菁々」とは、『詩経』に「盛んなさま」「茂盛なさま」を表わし、尾形光琳の号「青々」も踏まえているとされます。
光琳の表現を意識しながらも、独自の近代的な表現の追求を意識した其一の心意気もうかがえる号です。
作家名 | 鈴木 其一 |
作品名 | 春草図 |
時代 | 江戸時代 |
材 | 絹本著色 |
本紙寸法 | 18.5 × 17.0 cm |
総丈 | 114.0 × 31.0 cm |
落款 | 菁々其一 |
印章 | 祝琳 |
付属 | 合箱 |
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