文殊のすましたお顔と獅子の剽軽な表情の対比も愉しい

 

 

仙厓は観世音菩薩、楊柳観音、滝見観音など、菩薩像をいくつも描いています。
幼くして親と別れて寺で修行、禅僧となった仙厓の描く観音菩薩は、母性を感じさせる慈悲深さと気高さが特徴です。

さて、二段貼の表装で、上段に「賛」、下段に「画」の構成によるこの文殊菩薩画賛も、ふっくらとした顔とアゴ、首にやわらかな印象を感じる菩薩が描かれています。

右手に剣、左手に経巻を持ち、獅子に乗る姿で表現されることの多い文殊菩薩像を仙厓もそのように描いていますが、獅子の顔は・・・。目のまわりは、厚化粧の女子がクレンジングでアイシャドウを落としている最中のようです。

福岡市美術館「石村コレクション」にある「文殊師利菩薩図」の獅子も、大変おちゃめな表情で描かれているのを見ますと、仙厓は文殊菩薩の獅子にユニークさを付与しないと気がすまなかったようです。

賛は「爰盡生海 不堕悪道 大戒破戒 大智無智」。

力強い筆致の賛は、仙厓の画賛で馴染みの“ゆるやかでやさしい”それとは違い、実は厳しい性格でもあったと言われる仙厓らしい力強さを感じることができる作品です。

作家名 仙厓義梵(せんがいぎぼん)
作品名 文殊菩薩画賛
時代 江戸時代
紙本墨画
本紙寸法 賛:28.4 ✕ 17.5 cm
画:28.4✕17.7 cm
総丈 150.7 ✕ 31.4cm
爰盡生海 不堕悪道 大戒破戒 大智無智
印章 「藤汝鈞印」(白文方印)、「若冲居士」(朱文円印)
付属 合箱
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