芦雪が愛し得意とした雀と、春の訪れを告げる梅花

 

作家名 長沢芦雪(ながさわろせつ)
作品名 梅に雀図
時代 江戸時代(18世紀)
紙本墨画淡彩
本紙寸法 119.0 ✕46.0 cm
総丈 208.9 ✕ 58.4 cm
印章 「長澤」「魚」
落款 芦雪写
付属 合箱
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■作品解説
芦雪40代前半の作品です。
花を咲かせる梅花のもと、岩の上に佇む一羽の雀が描かれています。
今を盛りに枝を上へ上へと伸ばす梅木とは対照的に、梅に背を向ける雀の静かな雰囲気が印象的です。
幹や岩は、筆勢や墨のぼかしを効果的に使い、生命感や躍動感が表現されています。
さて。芦雪作品で“岩の上に佇む動物”といえば、和歌山・草堂寺の屏風「群猿図」に描かれる、切り立つ岩の頂に座る白猿が有名ですが、本作の雀も、芦雪が好んで用いたモチーフの構図の一つと言えるでしょう。

落款「蘆雪写」と印章は、梅の幹に沿うように配し、絵の構成の一つとして成り立つようにしているのも、蘆雪らしい配慮です。

頭の毛がツンツンとたっている雀の愛らしさ、太い筆を用い、力強く動感にあふれる岩の表現、枝の動きとウロの形状を親和させる造形の妙、ところどころの梅花の中心や岩の右下の草花に淡い着色を施す色のアクセントの付け方など、蘆雪の配慮が隅々までゆき届いた、見どころの多い作品です。