芦雪が得意とした雀を描いた晩年の作

 

 

すっと上に伸びる竹の下にで三羽の雀が遊ぶ様子を描いた作品。
竹は節を強調しながら、のびやかに表現され、竹の葉の濃淡で遠近を表わしています。

雀たちのうち、下の二羽は左を向き、空から降りてくる様子、あとの一羽は羽正面を向き、羽根を広げて少々怒り顔でこちらに向かって来るようです。
マンガのように表情豊かな雀たちは、風切羽は細い刷毛状の筆でさっと描き、ふわっとした質感を演出し、趺は応挙の写実的表現を踏襲して、リアルに表され、小さな生き物が持つ繊細でやわらかな生命力を上手く表現しています。

同時代の画家・伊藤若冲が、鶏を描くことをライフワークとし、鶏を正面から描いたように、芦雪も雀をよく描き、正面を向く雀も多く見受けられます。
鳥類を正面から描くのは、なかなか難しいものがあります。
あえて、正面を描くのは、よほど自信があるのでしょう。

雀の頭頂と羽根の一部に薄く茶色の絵具で色が付けられています。
元気でかわいい三羽の雀たちが、竹にたわむれる姿は、小さな生き物を慈愛を込めて描く芦雪らしい作品です。落款・印章により、晩年の作と思われます。

●箱書きは、奥谷秋石(1871〜1936)。
※大阪出身の日本画家。若くして森寛斎の門に入り、円山派の画風を学ぶ。

 

作家名 長沢芦雪
作品名 竹に雀図
時代 江戸時代(18世紀)
紙本墨画淡彩
本紙寸法 117.0 ✕ 31.5 cm
総丈 196.5 ✕ 42.0 cm
落款 蘆雪
印章 「長澤」「魚」
付属 箱書き:奥谷秋石
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