力強く、勢いのある筆致で一気に描かれた達磨と賛。
款記に「八十三翁」とあるように、八十代にして意気盛ん、豪放な性格を感じさせる作品です。
南北朝時代にインドからはるばる中国に渡り、南朝の梁、北の北魏へ渡り、禅宗を伝えた中国禅宗の始祖である、達磨。
達磨をモチーフにした作品には、梁の武帝との問答を描いた「達磨武帝図」、芦の葉に乗って揚子江を渡る「芦葉達磨」、壁に向って坐禅する「面壁達磨画賛(背面達磨)」、柩に片方の履を残しもう片方を手に持つ「隻履達磨」、二祖慧可が左臂を切り落し教えを乞うた「断臂図」、画面に上半身のみを表す「半身達磨」があります。
この作品は、達磨が北魏に入り、嵩山、少林寺の岩窟内で、壁面に向かって九年に及ぶ長い坐禅修行をして悟りを深めた「面壁九年」のエピソードを元に描いたもの。
背景を一切描かず、達磨を二筆で描いた、“明治の傑僧”といわれた南天棒にふさわしい力強い達磨図です。
賛は、「面壁乃祖師の姿者 山城能八幡の 者多野宇里可 茄子比釆」(面壁の祖師の姿は 山城の八幡の はたのうりか なすびか) 八十三翁南天棒(花押)」
作家名 | 中原南天棒(鄧州全忠) |
作品名 | 面壁達磨 |
時代 | 大正10年(1921) |
材 | 絹本墨画 |
本紙寸法 | 128 ✕ 40.2 cm |
総丈 | 197 ✕ 54.2 cm |
賛 | 面壁乃祖師の姿者 山城能八幡の 者多野宇里可 茄子比釆 |
印章 | 「南天棒」(関防印/白文長方印)、「白崖窟」(白文方印)、「鄧州」(朱文方印)、「八十三翁」(游印/朱文方印) |
付属 | 合箱 |
価格 | 売約済 |