農家の庭先でしょうか。雄鶏が鍬の上に片脚で乗り、尾羽を高く上げています。正面を向いた雄鶏の表情は剽軽で愛嬌があります。
若冲は、片脚を上げて正面を向き、瓦や釣瓶、里芋、稲束といったアイテムに乗った雄鶏をいくつか描いていますが、この作品もそんな農家や田舎家の庭先でよく見かける鶏の情景を描いた一枚でしょう。
鍬をゆったりと描き、一方の雄鶏は尾羽を勢いよく一気に描くことで緩急を付け、また、雄鶏の尾羽と腹羽、鍬の刃というこの絵の上部・中部・下部に当たる箇所に濃墨を効かせ、視線が上・中・下とバランス良く来るように工夫されています。
緩急・濃淡のメリハリが付いた、構図のおもしろさを常に追求した若冲らしい楽しい作品です。
作家名 | 伊藤若冲 |
作品名 | 鍬に雄鶏図 |
時代 | 江戸時代(18世紀) |
材 | 紙本墨画 |
本紙寸法 | 99.5 × 26.2 cm |
総丈 | 177 × 37.6 cm |
印章 | 「藤汝鈞印」(白文方印)、「若冲居士」(朱文円印) |
付属 | 合箱 |
価格 | 売約済 |