雑誌『Pen』の「京都めぐり、アート探し」特集で、京都ゆかりの桃山・江戸・明治時代の画家について執筆しました。
現在、発売中の雑誌『Pen』は「京都めぐり、アート探し」特集です。
私も京都ゆかりの画家を取り上げた、アーティスト対決ページを執筆させていただきました。
狩野永徳✕長谷川等伯
戦国の乱世を生きた、桃山絵師の戦い。
狩野派のサラブレッドで、幼い頃よりその才能を認められた天才・狩野永徳。能登・七尾の絵仏師が上京し、法華宗と禅僧ネットワークを駆使して狩野派の牙城を切り崩すまでに成り上がった長谷川等伯。その対照的な生い立ちと生き方、作風などを比較しながら、戦国乱世のなか、画壇という戦場でも繰り広げられた二人の活躍を紹介します。
尾形光琳 ✕ 尾形乾山
“京都ブランド”を武器に、江戸に活路を見出そうとした兄弟。
17世紀の京で名門呉服商「雁金屋」を営む商家に生まれ育った光琳と乾山の兄弟。御伽衆として公家を相手に文雅の才を発揮した二人が、雁金屋の凋落に伴い、自立の道を探します。兄は絵画、弟はやきものの道へ。経済力を持ち始めた大名を新たなパトロンに武家好みの華やかで緊張感のある傑作を残した光琳も、鑑賞性の高いモダンで斬新なやきものをプロデュースした乾山も、活躍の場を求めて江戸に移ります。江戸での暮らしに順応したのは、さて、どちらでしょう?
伊藤若冲 ✕ 円山応挙
天才で芸術家の若冲と、秀才で職人の応挙。
当時の京の画家でトップの人気を誇る伊藤若冲と円山応挙の作品を「孔雀」や「虎」、「龍」「犬」などの同じ画題で比較しました。個性や作風の違いが分かり、二人の絵を求めたユーザー層の違いなども見て取れる、楽しい内容です。
竹内栖鳳 ✕ 上村松園
近代京都画壇で新境地を開いた、師弟。
近代の京都画壇を支えた巨匠・竹内栖鳳と、栖鳳と共に画壇を盛り上げた上村松園。栖鳳は松園の3人めの師で、動物が得意の栖鳳と人物、特に美人画にこだわった松園の代表作を紹介しています。
また、今回は桃山の茶の湯でもてはやされた「高麗茶碗」と、千利休と長次郎のコラボ「樂茶碗」についても書かせていただきました。
長次郎の楽茶碗については、京都の樂家の茶室で、15代樂吉左衞門(直入)に直接お話をお聞きしました。
「長次郎の楽茶碗は、利休とのコラボレーションで生まれた、利休の理念や思想を具現化したもの」と言い切る15代。ろくろを使用せず、手捏ねで原型をつくり、ヘラ剥りで成形しますが、無駄を削ぎ落としたその形状や突き詰めて導き出された寸法などには作為が見て取れます。そこには、利休の鋭利な感性と理想の茶碗を求める執念が感じられます。
日本の文化芸術都市として発達した京都の奥深さを改めて実感する、鬼才・天才・秀才たちの作品を通して、その生き方を知る内容となっています。
是非、ご一読ください。
『pen』2020年4/1号(No.493)
特集:京都めぐり、アート探し。
2020年3月16日発売/CCCメディアハウス