雑誌『Pen』の「京都めぐり、アート探し」特集で、景和の若冲プレミアムコレクションより「狗子図」が、円山応挙との同画題「犬」対決で取り上げられました。

当時の京の人気画家のトップ―2である「円山応挙」と「伊藤若冲」。
同じ画題で作品を比較し、その特徴を解説するコーナーにて、「犬」をテーマに両者の作品を紹介しています。

若冲の描く犬の絵として、景和の若冲プレミアムコレクションより、「狗子図」が取り上げられました。

画題応挙の描く犬は、愛らしく、そのつぶらな瞳でこちらを向く表情は、いわゆるう“ペット化”された犬であるのに対して、若冲のそれは、人間に媚びない、人との距離をとった、野性味溢れる姿で描かれています。

犬は多産、子孫繁栄の象徴として、当時は人気の画題として、多くの画家が描いています。
応挙の犬は、その可愛さも相まって、人気が高く、需要も多かったようで、現存する作品は多いです。

一方、ニワトリをはじめとする鳥類をたくさん描いた若冲さんですが、犬を描いた現存作は極めて少ないようです。

若冲さんの『狗子図』は、白と黒の子犬が近づき、ひとかたまりのように描かれています。横を向く白犬とお尻をこちらに顔をあちらに向ける黒犬。薄い黒色の耳としっぽを持つ白犬と白い手袋のような脚をもつ黒犬。

白と黒、静と動という対比が楽しく、またこの白黒の模様が陰陽マークの「太陰太極図」のようにも見え、若冲さんの“仕掛け”をあちこちに発見することができます。

『狗子図』は、国内外の展覧会への出品履歴もある作品で、2016年の京都市美術館(現京セラ京都市美術館)で開催の「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」展のほか、2018年には、日露の文化交流イベントの一つとしてロシアのモスクワにある国立プーシキン美術館で開催された、文化庁主催の「江戸絵画名品展」にも出品しました。

ロシアでの若冲作品の展示はこれが初めてだそうで、“ロシアの地を踏んだ最初の作品”ともいえます。

最長の待ち時間が4時間以上の日もあったという大反響の「江戸絵画名品展」。
ロシアの人たちの目を楽しませた二匹のワンコのユニークな描写をお楽しみください。

◇掲載誌
雑誌名:pen
特集;京都めぐり、アート探し。
号:4/1号(No.493)
発行:CCCメディアハウス
発売日:2020年3月16日
定価:700円(税込)