作家名 | 大圓俊哲(円覚寺派・松籟院) |
作品名 | 一行書「松樹千年翠」 |
時代 | 現代 |
材 | 紙本墨書 |
本紙寸法 | 98.2 ✕ 27.0 cm |
総丈 | 178.4 ✕ 40.2 cm |
落款 | 圓覚松籟大圓 |
印章 | 「直心菴」(白文方印)、「大圓俊哲」(朱文方印) 関防印「臨済正宗」(朱文長方印) |
付属 | 共箱 |
価格 | お問い合わせください |
鎌倉・円覚寺派・松籟院住職による一行書「松樹千年翠」(しょうじゅせんねんのみどり)です。
おめでたい句として、また茶掛によく使われますが、本来の由来と意味は違うようです。
南宋末期の禅僧・石田法薫(せきでんほうくん)は弟子たちに「根本第一義を体得することに努めよ。枝葉末節のことにとらわれるな。思いを労することなかれ」と注意し、自身の見解を偈にします。
松柏千年青 松柏、千年の青
不入時人意 時の人の意に入らず
牡丹一日紅 牡丹、一日の紅
満城公子酔 満城の公子酔う
この偈の大意は、
「松や柏槇の常住不断の翠色に目をとめ、
その不易の美を理解する者は稀。
一方、牡丹が絢爛な花を咲かせると、それはうつろう一時の美にもかかわらず、
満都の貴公子たちがその美に魅せられ、はしゃぐ。」
ですが、
この偈に石田法薫は、このように警告しているそうです。
「世の人々は千年不易な本体には意を留めず、たちまちに流転変化してしまう現象にだぇ心を奪われ、うつつを抜かしている。それは、あたかも牡丹の花の感覚的な美に心を奪われ、松柏の不易な美に無関心なのに似ている」
つまり、根本をないがしろにして永劫不不変な真理を求めようとせず、表面的な現象を追いかけることを戒めているのです。
真の意味を理解してこの一行書を眺めると、これまでとは違った世界が見えてきそうです。