作品
伊藤若冲「双鶴図」
鶴は若冲の得意とする画題で、作例が比較的多く残っています。
この作品は、二羽の丹頂鶴が描かれており、手前の鶴は斜め上方を見つめ、後ろにいる鶴は片足で立ち、正面を向いています。
落款には「米斗翁八十一歳画」とあり、若冲晩年の作ですが、流麗で流れるような曲線で生き生きと描かれた鶴の描写には、熟練味というよりは“初々しさ”さえ感じます。
若冲の初期の鶴図といえば、宝暦九年(1759)、四十代半ばで描いた大作、鹿苑寺大書院障壁画の二の間「松に鶴図」がありますが、この作品と大書院のそれとを比べてみても、四十年の隔たりを感じさせません。
賛は京都の儒学者・村瀬栲亭(1744−1819)による「暁風対舞青天雲 夜月相呼琪樹霜」。
尾羽と風切羽を濃墨と淡墨でリズミカルに描き、晩年になってもなお意気盛んな若冲の作画へのエネルギーを感じる作品です。
解説
八十代の作ながら瑞々しさに満ち溢れた最晩年の傑作
鶴は若冲の得意とする画題で、作例が比較的多く残っています。
この作品は、二羽の丹頂鶴が描かれており、手前の鶴は斜め上方を見つめ、後ろにいる鶴は片足で立ち、正面を向いています。
落款には「米斗翁八十一歳画」とあり、若冲晩年の作ですが、流麗で流れるような曲線で生き生きと描かれた鶴の描写には、熟練味というよりは“初々しさ”さえ感じます。
若冲の初期の鶴図といえば、宝暦九年(1759)、四十代半ばで描いた大作、鹿苑寺大書院障壁画の二の間「松に鶴図」がありますが、この作品と大書院のそれとを比べてみても、四十年の隔たりを感じさせません。
賛は京都の儒学者・村瀬栲亭(1744−1819)による「暁風対舞青天雲 夜月相呼琪樹霜」。
尾羽と風切羽を濃墨と淡墨でリズミカルに描き、晩年になってもなお意気盛んな若冲の作画へのエネルギーを感じる作品です。