伊藤若冲

伊藤若冲「鷹図」

紙本墨画 江戸時代(18世紀)


◎解説

風が吹き荒ぶ中、突き出た岩の上に止まる鷹を描いた「鷹図」。岩の側に生える草が左から右になびく描写から、強い風が吹いている様子が見て取れます、岩の上に止まり、頸を捻じって左上を向く鷹は、飛び立つ方向を見据えながら、そのタイミングを伺っているのでしょう。 鷹の頸や胴体、翼や尾羽根は、若冲お得意の「筋目描き」で丁寧に表情豊かに描かれています。一方、鷹の止まる岩は、濃墨を使い、勢いのある筆致で一気呵成に描かれ、鷹との表現の対比がこの作品にインパクトを与えています。 印は左上に(白文方印)と「若冲居士」(朱文円印)を捺していますが、この「籐汝鈞印」は、若冲の画業初期にあたる宝暦初期から明和初期までに使用されたものであることから、この『鷹図』も、若冲50歳頃までに描かれ作品と推定され、若冲畢生の大作『動植綵絵』三十幅(1758年〜1766年頃)の制作期間と同じ頃に描かれた作品であることが分かります。 この時期、若冲は『動植綵絵』三十幅のほか、『鹿苑寺大書院』五十面、『金刀比羅宮奥書院』などの大作を次々と制作し、精力的に作画に取り組んでいた、まさに画家としての“成長期”でもあります。 ここに描かれた、強風のなかを飛び立とうとする鷹は、 “画業で生きていくこと”への強い意思や覚悟を持ち、逆風が吹こうとも絵の世界に力強く羽ばたこうとする若冲自身の姿かもしれません。

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作家名

伊藤若冲

作品

鷹図

作品番号

J-7

印章

「藤汝鈞印」(白文方印) 「若冲居士」(朱文円印)

時代

江戸時代(18世紀)

紙本墨画

本紙寸法

106.0 x 30.2 cm

総丈

184.5 x 40.3 cm